私はいわゆる就職氷河期世代です。周囲から時折漏れ聞こえる不平のような言葉がありますが、それを単なる不平として片付けるのはもったいない気がします。できれば、その中に新しい視点を見つけ、次のチャンスへ繋げたいと思っています。
そこで、リセッションと大卒の就職率の関係について、また、就職氷河期が単なる経済後退だけではなかったのか、その歴史をじっくりと解き明かしてみたいと思います。
リセッションとは、経済の景気が一時的に悪化し、生産や雇用が減少する現象を指します。これは通常、国内総生産(GDP)が連続する2つの四半期でマイナス成長する状態になることで定義されます。リセッションはさまざまな要因によって引き起こされ、金融危機や需要減少などが主な原因とされています。
新卒採用マーケットとは、新卒学生が卒業後に就職を選ぶ際に選択できる求人の数や質を指します。景気の好悪や産業の動向などが影響を及ぼし、景気が良い時には多くの求人が出てくる一方、景気が悪化すると求人数が減少し、競争も激化します。
統計局の「学校基本調査 年次統計総括表 5 就職率(1950年~)」 から得られたデータに基づくチャートを見ると、リセッションが大卒の就職率にどのような影響を与えたのかがはっきりと分かります。
年 | イベント | 翌々年大卒の就職率 | 内閣 |
---|---|---|---|
1987 | ブラックマンデー | 79.6% | 中曽根/竹下 |
1997 | アジア通貨危機 | 60.1% | 橋本内閣 |
2000-2004 | 就職氷河期 | 55.8% | 小渕/森内閣 |
2008 | リーマンショック | 60.8% | 福田内閣 |
2020 | コロナクラッシュ | ??? | 安倍/管内閣 |
1987年のブラックマンデーに起因するリセッションでは、大卒の就職率が79.6%まで落ち込みました。その後もアジア通貨危機やリーマンショック、そして最近のコロナクラッシュによって、大卒の就職率は変動しています。特に2000年から2004年にかけての就職氷河期では、大卒の就職率が55.8%にまで低下しました。
アジア通貨危機は、1997年にアジア諸国で発生した経済危機であり、その影響は就職氷河期世代にも長期間にわたって影響を及ぼしました。この危機が尾を引いた理由は以下の点にあります。
金融システムの崩壊: アジア通貨危機は、一部のアジア諸国で急激な通貨の暴落や金融システムの崩壊を引き起こしました。このため、企業や金融機関が多額の損失を被り、経済全体が深刻な打撃を受けました。経済基盤の崩壊は、就職機会の減少や企業の採用停止などをもたらしました。
経済の停滞: アジア諸国の経済は通貨危機後、停滞期に入りました。このため、企業の業績が悪化し、新卒採用の余裕がなくなりました。経済の停滞は、若者たちの就職機会を減少させる一因となりました。
信用の低下: 通貨危機により多くの企業が経営危機に陥り、信用が低下しました。これによって、企業が採用活動を控える傾向が生まれ、新卒の求人数が減少しました。就職氷河期世代は、この信用の低下によって求人市場が厳しさを増した現実を直面しました。
失業率の上昇: アジア通貨危機により多くの企業が倒産し、失業率が上昇しました。失業者が増加する状況は、求職者同士の競争を激化させ、新卒の就職活動を難しくしました。この影響は就職氷河期世代にも及びました。
これらの要因により、アジア通貨危機は長期的な影響をもたらし、若者たちの就職機会やキャリア形成に深刻な影響を与えました。しかし、この困難な状況に対して克服の道を見つけ、自己成長と前向きな姿勢を持つことが、就職氷河期世代の未来への道を切り拓く鍵となったのです。
今回は、リセッションの歴史とその背後にある要因について深く考察してみました。リセッションと新卒採用マーケットの動向が、大卒の就職率にどのような影響を与えるかを理解することは、今後のキャリアにおいて重要です。常に社会経済の変動に柔軟に対応し、新たな視点を持って未来を切り開いていくことが大切です。
テクノロジーの進化は、絶え間ない変化の中で私たちの日常を塗り替えてきました。時には経済的な危機が、新たな可能性を切り拓く契機となることもあります。そこで、過去のリセッション期に生まれたテクノロジーの足
ATKerneyの課題解決パターン は、課題の本質を見極め、効果的な戦略的構造化を通じて解決策を導き出す手法にフォーカスしています。この冒険の旅は、解決者と協力者たちが心を一つにし、課題に立ち向かう様
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